糖尿病網膜症 阪急京都線西院駅シャトルバス約5分 やまだ眼科

【糖尿病網膜症】 

糖尿病網膜症とは

糖尿病網膜症は、糖尿病によって引き起こされる眼の合併症の一つです。糖尿病により血糖値が長期間高い状態が続くと、網膜の微細な血管が損傷を受けます。これにより出血、脂質の堆積、酸素供給不足などが生じ網膜がダメージを受け、視力の低下や失明につながる可能性があります。

症状

糖尿病網膜症の初期段階では症状がほとんど現れないことが多いですが、病状が進行すると以下のような症状が現れることがあります。

・視界がぼやける(視力低下)
・視野の一部が見えなくなる(視野欠損)
・ものが歪んで見える(変視症)
・目の前に黒い影が飛んで見える(飛蚊症)

原因

糖尿病網膜症の主な原因は、長期間にわたる高血糖です。高血糖は網膜の細かい血管を傷つけ、これが網膜の障害を引き起こします。

糖尿病網膜症の分類

糖尿病網膜症は、大きく以下の段階に分類されます。

  1. 単純糖尿病網膜症:糖尿病の初期に発生する網膜症。網膜の微細な血管に損傷が生じる段階です。
    微小出血、脂質の堆積、微小血管の拡張などが見られますが、初期では症状が目立たないことが多いです。
    血糖値の管理と定期的な眼科検診が重要です。
  2. 増殖前糖尿病網膜症:網膜症が進行し、重度の糖尿病網膜症に至る段階。血管の閉塞が進み、網膜の酸素不足が顕著になります。
    視力の低下や視野の変化がより明確になり、網膜浮腫や出血が増加します。
    血糖値の厳格なコントロールと、必要に応じて網膜光凝固術や抗VEGF療法などの治療が行われます。
  3. 増殖糖尿病網膜症:糖尿病網膜症の最も進行した形態。網膜の酸素不足により、血管が網膜表面に異常増殖します。
    新生血管による出血、増殖膜の形成、網膜剥離などが起こり、重度の視力障害に至ることがあります。
    網膜光凝固術、抗VEGF療法、必要に応じて手術など、より積極的な治療が必要です。

糖尿病黄斑浮腫

鮮明な視力を担う網膜の中心部に位置する黄斑部分に、網膜の血管から液体成分が漏れ出し、蓄積することで黄斑部分が腫れる状態です。
長期間の高血糖が原因で、網膜の微細な血管が損傷し、液体が漏れることが主な原因です。糖尿病により、炎症を引き起こす物質が増え、これが血管の透過性を高めることがあります。
黄斑の腫れにより、視力が低下します。黄斑の形状が変わることで、直線が歪んで見えるなどの視覚的歪みが発生します。
レーザー治療、抗VEGF薬物療法、ステロイド治療などの治療が行われます。

予防と治療

糖尿病網膜症の予防と治療は、糖尿病患者さんにとって非常に重要です。

【予防】

  1. 血糖値の管理:糖尿病網膜症の発症と進行を防ぐためには、血糖値を適切に管理することが最も重要です。
    食事療法、運動療法、必要に応じた薬物療法を通じて血糖値をコントロールします。
  2. 血圧の管理:高血圧は網膜の血管に追加的なダメージを与えるため、血圧を正常範囲内に保つことが重要です。
  3. 定期的な眼科検診:早期発見が重要であるため、定期的な眼底検査を受けることが推奨されます。
    糖尿病が診断されたら、すぐに眼科検診を受け、その後は医師のアドバイスに従って定期的に検診を続けます。
  4. コレステロールの管理:高コレステロールも網膜症のリスクを増加させるため、適切な管理が必要です。
  5. 喫煙の中止:喫煙は網膜の血管に悪影響を及ぼすため、喫煙を控えることが推奨されます。

【治療】

  1. レーザー治療:増殖前糖尿病網膜症や増殖糖尿病網膜症の治療に用いられます。
    レーザーによって虚血状態の異常な網膜を焼灼し、新生血管の増殖を防ぎます。
  2. 抗VEGF薬物療法:VEGFは血管新生を促進するため、これを抑制する薬剤を硝子体に注射することで、
    異常な血管の増殖を抑え、網膜の浮腫を減少させることができます。
  3. ステロイド療法:炎症を抑制し、網膜の浮腫を減らすために用いられることがあります。
  4. 硝子体手術:増殖糖尿病網膜症が進行し、網膜剥離や出血が起きた場合には、眼内手術が必要になることがあります。

まとめ

糖尿病網膜症は早期発見・早期治療が重要です。定期的な眼科検診を受け、血糖値を適切に管理することが大切です。糖尿病を指摘された場合は、早めに眼科を受診してください。
糖尿病の眼底検査は、目薬で瞳孔を開いて目の奥を直接観察します。瞳孔が元にもどるまで4~5時間、眩しくなったり、見にくくなったりするため、検査を受ける日は車やバイクの運転は避けてください。