毎日の生活の中で、私たちは多くの情報を目を通して捉えています。特にデジタル化が進む現代では、多くの時間をスマートフォンやコンピューターの画面と向き合って過ごすことが増えてきました。そんな生活習慣の中で、目の疲れや不調を感じることはありませんか? それが「眼精疲労」のサインかもしれません。
眼精疲労は、目の疲れや酷使によって引き起こされる不快な症状のことを指します。主な症状として、目の痛み、かすみ、乾き、充血、まぶたの痙攣、頭痛などが挙げられます。これらの症状は、適切な休息やケアをしないと、日常生活に支障をきたすこともあるため注意が必要です。
VDT(Visual Display Terminals:ビジュアルディスプレイ端末)作業における労働衛生管理のためのガイドラインは、長時間のコンピューター作業に伴う健康リスクを防ぐために厚生労働省により策定されています。主に、労働者の健康を守る目的で、適切な作業環境や作業方法の指針が示されています。以下は、VDTのガイドラインの主な内容の一部です。
・連続してVDT作業を行う場合は、1回の作業が1時間以上連続しないようにすること。1時間を超える場合には、次の作業まで10~15分程度の休憩を取ることが推奨されています。
・休憩時には、体を動かしたり、遠くを見ることで目を休めることが望ましい。
・ディスプレイの位置や角度:目の水平より少し下の位置が適しているとされています。
・照明:適切な明るさと、画面の反射を避ける配慮が必要です。
・椅子やテーブル:適切な高さや角度、サポート機能を持ったものを使用することが推奨されています。
・VDT作業による目の負担を軽減するために、定期的な眼科検診や適切な視力矯正が推奨されています。
・また、目の乾燥を防ぐための対策やドライアイの治療も考慮すると良いでしょう。
・長時間の同じ姿勢での作業は、肩こりや腰痛の原因となりやすいため、定期的に体のストレッチや動作をすることが推奨されています。
VDTのガイドラインは、労働者の健康を守るための基準として提供されています。しかし、オフィスワーカーだけでなく、自宅でのテレワークや学習においても、これらの指針を参考にすることで、健康的な作業環境を整えることができるでしょう。
眼精疲労の症状を感じた場合、まず眼科での診察が推奨されます。医師は視力検査、眼底検査などの基本的な眼科検査を行い、症状の原因や程度の確認、他の疾患との鑑別診断を行います。
・点眼薬:主に調節機能改善点眼剤が用いられます。眼の乾燥が原因で眼精疲労を感じる場合、ドライアイ点眼薬が処方されることがあります。
・内服薬:眼精疲労やそれに伴う頭痛を和らげるため、ビタミンB12製剤、脳循環代謝賦活薬等の内服薬が処方されることもあります。
度の合っていない不適切な眼鏡が眼精疲労の原因となっている場合、眼にあった適切な眼鏡の処方が考慮されます。特に、近くのものを見る作業が多い人向けに、近用眼鏡(いわゆる老眼鏡)や遠近両用眼鏡などが推奨されることがあります。
医師は、日常生活における目の使い方や生活習慣に関するアドバイスを提供することがあります。例えば、PC作業時の環境の改善や、定期的な休憩の取り方などの指示が含まれることがあります。
保険診療の枠内で提供される治療は限られています。例えば、市販の人工涙液、特定のマッサージやアイマスクなどの治療は自由診療として提供され、保険適用外となります。
眼精疲労の症状が続く場合や、症状が強い場合は、どうぞお気軽にご相談ください。